江戸時代、杉田玄白と前野良沢達が中心となって実に4年の歳月を費やして
「解体新書」は翻訳されたとされています。
単純に一つのまとまったものをバラバラにする事「解体」に共通する語意を求めてこの章のタイトルとさせていただきました。
解体、即ちバラバラにする事、だからといって、何でもかんでも分解する訳ではありません。事後の組み立てが可能となるように配慮、
部品として再使用できる様に注意しながらの作業ですが、おいそれと分解作業に応じては呉れない代物なのです。
このステージで今迄持っていなかった特殊工具として購入したもの、それは「電動インパクトレンチ」でした、まさしくこれが電気メスの役割をすると言ったところです。
とにかく硬度・強度の高いボルト、ナット類が使用されていて、これに経年変化も加わり錆び付いている外装部分はスパナやボックスレンチでの解体作業は全くはかどりません。
誰かが言った「さすがに兵機だねー、これらボルトナットの強度はすごい!」がヒントになった訳ですが、オイルをしみ込ませたり、CRC等を振り掛けながらの作業となります。
このレンチ、通常は締込み用具ですが、絞め込む訳でなく反対の「緩める」きっかけを作る為に購入した訳です。
これがが出来るようになって、作業は数倍早く進行するようになったのは事実です。
「ハチのイッテンニーゴ」等はボルト、ナット類の通常規格です。
これに加えて「トウのイチ」、「ハチのイチ」等が使用されていて、ネジに関しての勉強には最高の時期でした。
とにかく簡単に緩んで欲しくないい部分にはネジピッチの細かいもの「サイメ」のネジが使用される事が多い事等かなり勉強になった作業です。
ちなみに;
●「ハチのイッテンニーゴ」とは;
ネジ部分の直径が8 mm 、ネジピッチ が 1.25
である事を意味し
●「ハチのイチ」とは:
ネジ部分の直径が 8 mm 、ネジピッチ が 1.00
である事を意味します
●「トウのイチ」とは:
ネジ部分の直径が 10 mm 、ネジピッチ が 1.00
である事を意味します。
既にご存知の方にはくどい話となって恐縮ですが、
8 mmで「ネジピッチ が 1.00」とは、サイメの8
mm ボルトと言う事になります。
これから何がしかの機械・車両関係で遊ばれる方にお勧めしたいのは、「ネジピッチゲージ」を購入される事です。
取り敢えずはミリネジ用 と インチネジ用の2種類を用意されたら、アメリカ車、ヨーロッパ車の両方に役立ちますし金額的にも1000円前後で入手可能です。
この他英国車両特有の「ウイットウヲース」(英国インチ)サイズ等現在では特殊ピッチと呼ばれるものが存在しますが、詳しくはネジに関する参考書等でご確認ください。
英国歴代の首相、あのチャーチル首相も鉄道模型マニアとして有名ですが、かれが使ったネジは「ウイットウヲース」サイズで、当然彼の所有していた旋盤は「ウイットウヲース・サイズ」のネジが切れた筈です。
ミリ、インチそして英国インチと呼ばれるネジの規格がある事をお話しました。
大体においてボルトやナットの形状は正六角形となっています。
しかしサイズは世界共通では有りません。
ミリはミリサイズで正六角形が作られ、インチ、英国インチもそれぞれの規格でボルト、
ナット類の正六角形部分が製作されていますので、スパナやボックスレンチ等それぞれの規格の工具類迄が用意が出来れば最高でしょう。
残念ながら、 ミリネジ製の工具で、インチボルトには対処できない事になります。
(一部例外サイズ少数が有ります。)
さて、注意を必要とするのが「逆ネジ」の存在です。
通常右回しでネジは締め付け方向になりますが、時としてこの反対、左回しをしないと締め付けられないネジが有ります。
慣れてくればこれら特殊「逆ネジ」が使用されている部分が想定出来るようにも成りますが、この事を年頭におかず(知らずに)作業をして、緩めてるつもりが絞めこんでいる場合が有ったり、最終的には重要なネジ部分に損傷を与え関係部品を使用出来ない状態にしてしまう事もあります。
解体で緩める事に没頭しても、鉄製のボルトとナットの場合は、安心して購入したインパクト・レンチが使えますが、鉄製ボルトがアルミ製部分に建込んであったりした場合には、トーチ、バアーナー等火力を使ってアルミ部分を暖めてから進行しなければならない場合が有ります。
その外、これらネジを利用して組み立てられる製品には、設計図で締め付けトルクについて詳細が定められている場合も多く、整備上での部品・装置の脱着には欠かせないデータとなります。
この電気インパクトレンチの導入で。やっと本車とサイドカー部分に分割することができましたが、その後この車両の完成まで、ショールームの一部約12坪は専有される事になります。そのエリアは私の戦場であり楽しみの場所でもありますが、クタクタになるまで作業して、そのまま現場を離れる事が出来るのが最大の幸せでした。
興味の無い第三者の立ち入りで、部品を蹴散らされ紛失したりする事が無い訳ですから、安心して作業が継続出来た事になります。
以上の状況で、その第一歩は電動インパクトレンチの購入でスタートが切れた事にはなりましたが・・・・
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